お知らせ

2022.02.07
遺言シリーズ② 「その自筆証書遺言、本当に大丈夫??」
こんにちは。

前回は、自筆証書遺言の要件について、お話をさせて頂きました。

形式的要件を満たしていなければ、無効だというお話は前回させて頂いたとおりですが、最近は、調べて作成をしている方が多いので、修正がある場合などは別として、形式的要件を満たしていない方は殆どいません。

因みに前回の記事には記載はしていませんが、ご夫婦や親子などが1通の遺言を作成される共同遺言は禁止されていますので、ご夫婦や親子で作成される場合などにも、1通ずつ独立した遺言書を作成する必要があります(民法975条)。

今回のお話は、形式的要件を満たしていても、その内容に問題があって、遺言者の意思が達成できない可能性がある、そういったお話です。

依頼者の方が作成された自筆証書遺言を見させて頂くと、信じられないとは思いますが、遺言者ご本人がお話をされている内容と、遺言の内容が全く違う場合があります。

(事例)
 AさんとBさんは夫婦です。AさんとBさん夫婦の間には子供がいません。
 Aさんが先に亡くなったらBさんが相続し、Bさんが先に亡くなったらAさんが相続するというように、一方が先に亡くなったら他方がその一切を相続するという内容にしたいです。
 Aさんの両親は既に亡くなっており、兄弟の仲が悪いので、AさんやBさんが亡くなった場合、最終的には兄妹には相続させず、Bさんの姪C(既に両親死亡)に相続させたいと思っています。Bさんの両親も既に亡くなっています。
 どのような遺言を作成する必要がありますか??

このようなケースの場合、
Aの遺言は、「①Aが亡くなった場合、全ての財産をBに相続させる、②Aが亡くなったときに既にBが亡くなっていたら、全ての財産をCに遺贈する」
Bの遺言は、「①Bが亡くなった場合、全ての財産をAに相続させる、②Bが亡くなったときに、既にAが亡くなっていたら、全ての財産をCに相続させる。」
というように、それぞれが2段階に分けて記載をする必要があります。
しかし、このようなケースで①がない場合、夫婦の一方が①のみを記載している場合があります。

多分、最初のケースは、最初の相続は当然①になると勘違いをして②しか記載しない、2番目のケースは夫婦の一方が高齢で、高齢の方が先に亡くなっていると勝手に予測をして、若い方が②しか書いていなかったというような理由が考えられますが、②しか記載をしていない以上、その遺言にしたがって、夫婦の一方が生きていたとしても姪Cが遺産を全て取得することとなります(遺留分は別途考える必要があります)。

これは、当初、ご本人が希望していた内容と全く異なります。

遺言を作成する場合、全ての財産を妻に相続させるというような単純なケースでは大丈夫だと思いますが、事例にあるケースのように少し複雑になる場合、遺言者が意図した内容と実際の遺言の内容が異なるケースがありますので、少し複雑な遺言を作成する場合には、専門家に依頼をすることをお勧めします。

また、相続又は遺言の相手をきちんと特定できていない場合もあります。
相手を特定する場合には、妻●●(昭和●●年●●月●●日生)、姪●●(平成●●年●●月●●日生)というように続柄と名前、生年月日を記載して特定をするか、親族関係がない場合には、住所・氏名・生年月日は記載をして特定するようにしましょう。

また、不動産の処分をAに任せたいなどの記載もありますが、これでは処分を任せるという意味では使えても、その後の換価した代金をAが取得するということには必ずしもなりません。財産を特定の方に相続又は遺贈をさせたいのであれば、「相続させる」「遺贈する」というように、明確に記載をする必要があります。

せっかく遺言を作成されても、その内容に不備があれば、遺言を作成した意味がありませんので、ご不安がある場合には、専門家に依頼をされることをお勧めします。
2022.02.07
遺言シリーズ① 「自筆証書遺言の要件って何??」
こんにちは。

遺言といえば、自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類があるということはご存知の方が多いと思います。今日は、自筆証書遺言の要件について、お話をします。
自筆証書遺言は、民法968条に下記のように定められています。

ちょっと難しいので、要約すると
①遺言者が、全文を自書で記載し、日付及び氏名を自書して、これに印鑑を押印する。
②相続財産の目録を添付する場合には、他人が作成をしたものや、ワープロで作成したもの、通帳などを添付する形式でも構いませが、各ページごとに遺言者が自書で署名し、押印をする必要がある。
③自筆証書中の記載の追加や訂正は、その場所を示し、これを変更した旨を付記して署名し、かつ、変更の場所に押印をする必要がある。
となります。

このうち②は、平成30年7月に民法が改正され追加されたもので、平成31年1月13日に施行されました。同日以後に作成をした自筆証書遺言であれば、②のように遺産目録を自書する必要はありません(もちろん、自書しても問題はありません)。

自筆証書遺言は、このように形式が細かく設定されており、この要件を満たしていなければ、無効となるので、作成する場合には注意が必要です。

因みに封筒に入れないといけないという決まりはないので、封筒に入れなくても有効ですし、印鑑も実印を押印する決まりはないので、認印でも大丈夫なのですが、遺言が遺言者ご本人の意思で書かれているということを担保する意味で、一般的には封筒に入れて保管をし、印鑑は実印を利用されているケースが多いと思います。

なお、自筆証書遺言は、家庭裁判所に検認の申立てをする必要があり、封筒に入っている遺言は家庭裁判所の検認時に開封する必要があります。勝手に開封をした場合には、5万円以下の過料に処せられますので、ご注意下さい(民法1004条、1005条)。

なお、勝手に開封をしている場合でも、開封したことで遺言が無効になることはありません。

最近はインターネットなどでも調べることができるので、自筆証書遺言を作成する場合、上記の①の要件が必要であるということは、自筆証書遺言を作成される方は、ご存知の方が多いかと思います。

でも、本当に大丈夫でしょうか??

私は、遺言作成業務も行っていますので、私に依頼をされるお客様は、自筆証書遺言を作成されているケースは少ないのですが、遺言書の検認申立ての依頼をされたり、自筆証書遺言を作成してきたけど、心配なので、専門家に依頼をされたいという方もいます。

このようなケースで自筆証書遺言を見させて頂く機会がありますが、形式的要件を満たしていても、その内容に問題があるということが沢山あります。

そこで、次回は、「その自筆証書遺言って本当に大丈夫」という記事を書きたいと思います。是非、ご覧下さい♪

(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

2020.03.07
特許事務所に相談に行きました。
先日、お客様から、新商品を販売したいとのご相談を受け、特許の対象となるのか否か、商標登録できるか否かを、特許や商標の専門家である弁理士に相談に行ってきました。

相談をしたところ、権利侵害に対抗できる権利として、①特許、②実用新案、③意匠の3つがあり、①と②は技術的なアイディアが対象で、③はデザインが対象となるそうです。
②は審査がなく登録なので、仮に訴訟に発展して、侵害を理由に製造中止になった後に実用新案が無効となった場合、製造中止を訴えた側が、損害賠償請求される可能性があるそうです。

ここだけ見ると実用新案の登録をする意味はないようにも思えますが、特許は認定されるまでに時間がかかりますし、実用新案の登録をすることにより広告宣伝的な効果があったりするそうで、特許とはまた異なる効果があるということでした。

意匠に関しては、審査があるので、実用新案のように製造中止後に意匠が無効となったとしても、損害賠償請求されるようなことはないそうで、申請をする意味があるようには思えました。

ただ、意匠に関しても、①新しい、②容易に思いつくことができないといった審査があるようで、簡単には認められないようです。

逆に言えば、特許、実用新案、意匠が認められるようであれば、新規参入を防いだり、権利侵害があった場合に製造中止を主張できるので、申請をされておいたほうがよさそうでした。

商標はデザインは勿論のこと、音で同一性がある場合には排除されてしまうようなので、ブランド展開をしたい場合などには、最初にきちんと調べておく必要があるようです。

特許や商標は弁理士の専門分野なので、顧問先の方と一緒に相談に行って、とても勉強になりました♪

なお、特許は権利が保護される反面、技術内容が公開されるというリスクもあると聞いたことがあるので、実際に登録をするか否かについては、メリット・デメリットの双方があることを念頭に入れて、専門家と相談をされたらいいかと思います。


今回はお客様も喜んでくださって、一緒に相談に行って本当によかったと思いました。

お客様と一緒に悩み、一緒に考え、成長を支えていけるような専門家でありたいと思っているので、司法書士や行政書士の業務とは関係のないようなことであっても、気軽に相談をして下さると嬉しいです(*^-^*)
2020.01.31
合名会社・合資会社の皆さん、大丈夫ですか??
こんにちは。

先日、車で走ってたら合名会社の社名が書かれた車を発見しました!!
合名会社って滅多に見れないので、なんだか貴重な気はしましたが・・。
でも、そのままで大丈夫なのという不安もあります。

そこで、今日は珍しく司法書士っぽいネタを記事にしたいと思います。

合名会社と合資会社、、ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、昔は結構ありました。
というのも、以前は株式会社を設立しようと思えば、最低資本金1000万円という壁があって、簡単に設立をすることができませんでした。
取締役会を必ず設置しないといけないとか、監査役は必ず必要とか、、他にも色々な制約があって、とにかく株式会社を設立するのは大変でした。

平成18年の会社法改正後では資本金は1円からでも大丈夫(実際に1円で設立する人は殆どいないですが)、役員も取締役が1名いれば大丈夫というように、とにかく株式会社を簡単に設立することができるようになりました。

なので、現在、株式会社にしようか、より初期費用の安い合同会社にしようかと悩む人はいても、合名会社や合資会社は候補にも挙がってきません。
ご存じない方も多いのではないでしょうか??

では、合名会社や合資会社とはいったいどのような会社なのか、、気になりますよね!!

合名会社というのは、無限責任社員のみで構成される会社で、合資会社は無限責任社員と有限責任社員で構成される会社です。因みに社員というのは、従業員という意味ではなくて、株式会社の株主さんと同じような出資者を意味します。


たとえば、株主さんが100万円を出資して株式会社を設立すると、会社がその後1億円の借金をして倒産したとしても、株主さんに対して銀行などの融資先が1億円を返還してと言うことはできません。
これは、株主の責任が有限責任と定められているからです。
つまり、株式会社の株主は100万円という出資の範囲内でしか責任を負いません。もちろん、会社が倒産をすると出資をした100万円は戻ってきませんが、それ以上に責任を負うことはありません。

しかし、合名会社や合資会社の無限責任社員さんは、会社が負担している債務の全責任を負わなければなりません。会社が1億円の借金をして倒産をしてしまうと、無限責任社員さんは1億円の借金を返済しなければならなくなります。

株式会社と比較するとあまりにも責任が重いですよね。

もちろん、通常、株式会社であっても会社が融資を受ける際には代表取締役が連帯保証をすることが多くて、その代表取締役が株主さんだったりするので、結局は同じになることもあります。

ただ、株式会社の株主さんの場合には、連帯保証をしていない債務(買掛金、請負代金等)については責任を負いません。ここが、合名会社や合資会社の無限責任社員さんとは大きく異なるところです。

勿論、借りたお金を返済しないといけないのは当たり前のことなのですが、それでも、経済環境によってはやむにやまれず倒産してしまうというケースもあります。
そのような場合、その後の人生を再建させるための大きな足かせとなってしまう可能性があります。

何代前から引き継いでいるけど、その責任を知らずにそのままにしている会社もあるかもしれないので、今日は記事にしてみました。

当事務所では合資会社や合名会社が株式会社に組織変更したり、合同会社に種類変更するなどのご相談も受けていますので、不安に思われたら、お気軽にご相談くださいね(#^^#)

なお、合資会社や合名会社はその成り立ちからして、かなり古い会社になります。数十年あるいは100年以上続いている会社もあるのではないでしょうか。
合資会社や合名会社は会社名を見るだけで、何代か前から続いている会社なんだろうなと推測できますし、歴史を感じることができます。
私も会社名を見るだけで、素直にスゴイなと思ってしまいます♬

とはいえ、責任が重いということは間違いないので、その会社名を残して重い責任を負担したままにするかっていうのは、考えますよね~。

経営者の皆様と一緒に考えて、一緒に悩む、そんな専門家でありたいと考えていますので、迷われたら是非、ご連絡ください。
2020.01.21
読書感想1~問題解決のためのデータ分析~
こんにちは(#^^#)

今年の目標として
【毎月3冊以上活字の本を読む】
という目標を掲げたので、最初の1冊を読みました。

最初の1冊は問題解決のためのデータ分析という本です。

https://www.amazon.co.jp/dp/B07NHBSZ9W/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

※サイトに飛べないようなので、興味のある方はコピペをお願いします。


これは、データ分析をしたことがない方向けの初心者が読むにはうってつけの本です。
司法書士や行政書士の業務としてデータ分析を扱うことはなくて、私も初めて学びました。

結論として、経営者の方でデータ分析を実行していないのであれば、即座に取り組む必要があって、その取り組み方を簡単に記載している本なので、まだやったことがない方は参考にして始めるといいのではないかと思います。

売上が落ちたのは分かるけど、何故、落ちたのか分からない
経費が増えたのは分かるけど、何故、増えたのか分からない
コスト削減が必要だと分かっているけど、どこを削減すればよいのか分からない

こんな悩みを抱えている経営者の方は沢山いるのだろうと思います。決算書を見ても細かな数字は出てこないので、何がどうなって、経営難に陥っているのか分からないっていうことはあると思います。

そんなときに、この本に書いている分析方法を利用すれば、解決策が見つかるかもしれません。解決策を見つけるまでの読むべき視点を書いてくれているので、本当に初心者の方にはお勧めかなと思います。

それと、この本はエクセルを利用するように書いています。エクセルであれば、どの会社にも入っているソフトだと思うので、システム費用などの高額なお金をかけることなく、実践することができます。
それで、必要であれば同じような分析をしてくれるシステムを入れることをお勧めします(入れなくても勿論大丈夫です)。
経営者自身がエクセルの扱いまで知る必要は必ずしもないですが、中小企業ではどのようなデータを使って、どのような分析をするのがよいか、必ず経営者自身が分かっている必要があると思います。
そのための考え方を学ぶためにもよいかなと思います。

私たちのようなお仕事はちょっと特殊なので、どのようにデータ分析をしたらよいか悩ましいところではありますが、私も挑戦をしてみようと思います。

お客様の内情を知り、お客様の会社が健全に経営できるようにお手伝いをし、業績アップを一緒に喜べるような専門家でありたいと思っているので、今年はそのような観点からアプローチを進めていきたいなと思います。

因みにこの本はプライムリーリングなので、アマゾンプライムの会員の方は無料で読むことができます。
是非、利用してみてください。

顧問契約もしていますので、興味のある方はお気軽にお問合せくださいね♬

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